古い戸籍の用語集

古い戸籍の用語集

◆家督相続(かとくそうぞく)

戸主の地位は、戸主の財産権とともに家督相続という制度により承継されました。
相続の一形態ですが、戸主の死亡を前提とした制度ではなく、死亡以外にも隠居、国籍喪失なども相続開始原因とされました。
また、家の統率者としての地位の承継を含むので、遺産相続と異なり常に単独相続となりました。
家督相続人(新戸主)となる者は、旧戸主と同じ家に属する者(家族)の中から、男女・嫡出子庶子・長幼の順で決められた上位の者、被相続人(旧戸主)により指定された者、旧戸主の父母や親族会により選定された者などの順位で決めることになっていましたが、通常は長男が家督相続人として戸主の地位を承継しました。

◆隠居(いんきょ)

旧民法で、生存中に家督を譲ること。

◆廃嫡(はいちゃく)

旧民法で、被相続人の意志に基づいて推定相続人の家督相続権をなくすこと。

◆分家(ぶんけ)

ある家に属する家族が、その意思に基づき、その家から分離して新たに家を設立すること。
本家の統率の観点から、分家するためには戸主の同意が必要とされました。

◆廃家(はいけ)

戸主が、婚姻や養子縁組などの理由により他の家に入るために、元の家を消滅させること。
ただし、一家創立によって戸主になった者は自由に廃家できましたが、家督相続により戸主になった者が廃家する場合は裁判所の許可を必要としました。

◆絶家(ぜっけ)

戸主を失ったために家督相続が開始されたにもかかわらず、家督相続人となる者がいないために、家が消滅すること。

◆廃絶家再興(はいぜつけさいこう)

廃家、絶家により消滅した家を、復活させること。
家を復活させるとはいっても、既に戸主の地位を失った者の家督相続を伴わないため、専ら家名を承継することに意味がありました。

◆一家創立(いっかそうりつ)

新たに戸主になる者の意思とは無関係に、法律の規定により当然に家が設立されること。
例えば、父母が不明である棄児、戸主の同意がないために父母の家に入ることができない非嫡出子、外国人が帰化したとき等の場合に、本人の意思とは無関係に家が設立され戸主となります。

◆族称(ぞくしょう)

明治政府が設けた身分の名称。華族・士族・平民の三つがありました。
※現在取得できる明治・大正の戸籍には記載されておりません。

◆戸籍筆頭者(こせきひっとうしゃ)

各戸籍の最初に記載される人のこと。法律的な権利関係を意味するものではありません。
原則として婚姻の際に氏を変えなかった側の者をいいます。

◆養子縁組(ようしえんぐみ)

血のつながりにおいて親子ではない者の間に法律上、実の親子と同じ関係を成立させる契約。
又は血縁的親子関係はあっても嫡出親子関係のない者(婚姻関係にない男女の子)の間に、嫡出親子関係を創設する制度のこと。 ただし、養子縁組をしても実方の父母その他の親族との親族関係は継続します。

◆婿養子縁組

婚姻と同時に夫が妻の親と養子縁組すること。夫は妻側の戸籍に入る。入夫婚姻と異なり、女戸主以外と行う事ができる。昭和二二年民法の改正に伴い、法律上の制度としては廃止されました。

◆入夫婚姻

夫が女戸主をしている妻の戸籍に入る婚姻方法。婚姻後に妻が戸主を続けるか、夫が新たに戸主となるかは任意。昭和二二年民法の改正に伴い、法律上の制度としては廃止されました。